カイロウドウケツ(Venus' Flower Basket)
カイロウドウケツは六放海綿綱に属する海綿の仲間です。 二酸化ケイ素(ガラス質)の骨格(骨片)を持ち、ガラス海綿とも呼ばれます。
骨片は人間の髪の毛ほどの細さの繊維状ガラスであり、これが織り合わされて網目状の骨格を為しています。 形は円筒状で、海底に固着して生活しています。 体長は5-20cmほど、円筒形の先端は閉じ、基部は次第に細くなって髭状となり接地していて、円筒の内部に広い胃腔を持っています。
このカイロウドウケツの網目構造内の胃腔にはドウケツエビと呼ばれる小さなエビが棲んでいます。 このエビは幼生のうちにカイロウドウケツ内に入り込み、そこで成長して網目の間隙よりも大きくなり、外に出られない状態となって胃腔内で一生を過ごすのです。
ドウケツエビは幼生の時は雌雄未分化です。 多くの場合二匹のドウケツエビがカイロウドウケツに入り込んで、そのなかで雌雄一対に分化します。 まれに三匹入り込んでしまう場合もあるらしいですが。
「偕老同穴の契り」などと呼ばれるように、「生きては共に老い、死しては同じ穴に葬られる」とのことで、現在でもカイロウドウケツは結納の縁起物として使われたりします。