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粘菌(Slime mold)

粘菌は、変形体と呼ばれる栄養体が移動しつつ微生物などを摂食するという動物的性質を持ちながら、小型の子実体を形成し、胞子により繁殖するという植物的(あるいは菌類的)性質を合わせ持つ、特異な生物です。

ある種の粘菌には「餌を求め、餌と餌の最短距離をつなぐ形に変形する」「光を嫌い、光を当てることで任意の形に変形できる」性質があります。 このことを利用し、光や餌を「入力」、形を「出力」とみなしてコンピュータとして利用する(粘菌コンピュータ)研究が行われています。

例えば、粘菌を迷路の中に設置しその迷路の端と端にえさを置くと、粘菌は一旦は迷路全体に管を広げるが、最終的には餌と餌の最短距離をつなぐ管のみを残し、それ以外の部分は衰退させてしまうのです。

また、餌との道筋に光の当たる部分を作ると、粘菌は光のあたる部分がなるべく少なく、かつ粘菌全体の管の長さもなるべく短いような経路を取ります。

最終的に形成された形は迷路問題(一種の組合せ最適化問題)の解であるとみなせるのです。

また、粘菌は同じ実験でも場合によって異なった経路を取るが、この時に粘菌がネットワークを作成する過程を発展方程式を用いて数理モデル化することで、正確な答を一つだけ出すことしかできない現在のコンピュータとは違い、一つの問題に複数の答えを出せるような「柔軟な発想」のできるコンピュータの開発に生かせることが期待できるのです。


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